一軸圧縮試験というと土木系の方にはなじみがある試験だと思いますが,改めて聞かれると一軸圧縮強さ以外に何が分かるのか,そこから出た数値をどのように活用できるのか曖昧な方も多いと思います(私は分かっていませんでした)。
そこで今回は土質試験における一軸圧縮試験とはどんな試験なのか,そこから何が分かるのかについて解説していきたいと思います。みなさんの理解の手助けになれば幸いです。
一軸圧縮試験とはどんな試験
一軸圧縮試験は英名をunconfined compression test という事からも分かるように,供試体が「unconfined」閉じ込められていない状態での「compression test」圧縮試験のことで(JIS A 1216)供試体を押しつぶすときの時刻歴の応力とひずみを計測する試験のこと。供試体の圧縮は毎分1%の軸ひずみが生じる速度で行われ,時間にして約10-20分程度の短時間で行われる。そのため供試体の間隙水が排出される猶予がなく,非排水せん断試験に分類される。
供試体は円柱状に成型したものを用い,供試体の上下を載荷板で挟んだ状態で行う。供試体と載荷板が触れている面では摩擦力により供試体の水平方向への変形はある程度拘束される。そのため,その付近では十分なせん断が生じないので,供試体は十分な高さを確保する必要がある(高さと直径の比で1.8-2.5倍程度)。
一軸圧縮試験の終了条件は以下のとおりである。 ①圧縮力が最大となって引き続きひずみが2%以上生じた場合 ②圧縮力が最大を示した後,最大値の2/3程度まで減少した場合 ③上記の2つの条件を達しないまま,ひずみが15%まで達した場合
対象とする土
さて,そんな一軸圧縮試験であるがすべての土に対して適用できるわけではない。具体的には,供試体が自立する粘性土のみを対象としている。その理由として,一軸圧縮試験では供試体に対する横方向からの拘束がないため,試験を行うには供試体が自立必要があるためである。そのため粘着力をもつ粘性土だけが一軸圧縮試験で用いることができる。
一軸圧縮試験で求められる数値
上の図は一軸圧縮試験の垂直軸応力σv(Fv/供試体断面積)と軸ひずみεv(ΔL/初期供試体長L)がプロットされたものである。①ははっきりとしたピークが表れており,これは乱されていない,密な,高い過圧密土にみられる特徴である。②ははっきりとしたピークはなく,緩い,乱された土にみられる特徴である。
①では垂直軸応力σvの明確なピークがあるのでその値が一軸圧縮強さquとなる。一方②では明確なピークがないため,軸ひずみεvが15%の時の垂直軸応力σvを一軸圧縮強さquとなる。
試験結果をモール円で表すと上の図のようになる。最大主応力はquで最小主応力は水平方向の応力が0なので0となる。破壊包絡線はモール円に接する水平線(Φ=0法)で,τ軸との交点が粘着力cuになる。つまり,cu = qu / 2となるわけであるが,試料のサンプリング時や運搬時のかく乱の影響で原位置でのcuよりも若干小さい値になるといわれている。また,試料に亀裂がある場合,不飽和粘性土を含む場合,砂質土を一定以上含む場合も圧縮強さを過小評価することがあるので,このような場合は非圧密非排水試験(UU試験)を行ったほうが良い。
結果の利用方法
一軸圧縮試験で求まる粘着力cuが三軸圧縮試験の非圧密非排水試験(UU試験)の結果と一致するため,結果の利用方法はUU試験と同じである。UU試験の非圧密・非排水という条件は現場,例えば盛り土の現場では,施工期間中の状況に類似している。これは,盛り土の施工が比較的短期間で行われる場合,圧密の進行は遅く,含水比の変化もほとんど起こらないためである。
まとめ
一軸圧縮試験では一軸圧縮強さquが求められる。また,そこからUU試験と同様な粘着力cuを求めることができる。また,一軸圧縮試験によって求めたcuは短期間で作られる盛り土のような,短期間でのせん断強度として利用できる。
〈参考文献〉 共立出版:土質力学の基礎とその応用,石橋勲,Hemanta Hazarika 社団法人地盤工学会:土質試験から学ぶ土と地盤力学入門 丸善株式会社:第2版土質力学,石原研而 社団法人地盤工学会:土質試験基本と手引き第二回改訂版